近年、農業の現場でもドローンの活用が広がっています。農作業の負担を減らし効率を高める農業用ドローンは、農薬散布や肥料まきだけでなく、作物の管理や運搬にも使えます。この記事では、安全に農業用ドローンを操作するために必要な資格や取得方法についてわかりやすく紹介します。
農業用ドローンとは?
近年、ドローンは映像撮影や物流などさまざまな分野で使われていますが、農業の現場でも大きな力を発揮しています。とくに農作業のなかで手間がかかる農薬散布や肥料まき、作物の管理などを効率化できるのが農業用ドローンです。ここでは、農業用ドローンで何ができるのか、どんな場面で役立つのかをわかりやすく解説します。
農薬散布に使える
農薬散布は、作物を害虫や病気から守るために欠かせない作業です。これまでは小型のスプレーや産業用ヘリを使うことが一般的でしたが、ドローンを使うことで作業が大きく変わります。農業用ドローンは小型で軽く、ひとりでも操作できます。ドローンが起こす風で薬液を霧状に散布できるため、葉の裏や枝の奥など、手作業では届きにくい場所にも薬をかけられます。
また、ヘリでは行きにくい中山間地や狭い場所でも飛ばせるため、これまで難しかった場所での散布も可能です。
肥料の散布や播種にも活用
農業用ドローンは農薬だけでなく、肥料の散布や種まきにも使えます。農薬散布用のタンクを肥料用に替えれば、正確に肥料をまけます。ドローンの飛行経路を設定することで、必要な場所にだけ肥料を散布できるため、無駄を減らして作物の生育を均一にできます。さらに、稲や野菜の種まきにも対応できるドローンがあります。
狭くて人が入りにくい場所でも短時間で作業を終えられるので、労力や時間を大幅に節約できます。
作物の状態を確認できる
ドローンにカメラを搭載すれば、広い畑や山間部の作物の状態を空から確認もできます。葉の色や生育の様子をチェックしたり、病気や害虫の兆候を早期に発見したりできます。さらに、高性能カメラやセンサーを使えば、肥料の偏りや地温の違いなども分かるため、効率よく農作業の計画を立てられます。広大な農地や人手が足りない地域では、ドローンによるモニタリングがとくに役立ちます。
収穫物や資材の運搬にも使える
高齢化や人手不足が進む農業では、収穫した野菜や果物、肥料や資材の運搬にも課題があります。ドローンを使った運搬は、距離が短くて軽量の荷物に向いています。小型ドローンを使うことで、農作業者の負担を減らし、移動時間や体力の消耗を抑えられます。さらに、車で運ぶ場合よりも燃料を使わないため、環境負荷を減らす効果も期待できます。
農業用ドローンの操縦に資格は必要?
農業用ドローンは便利ですが、安全に使うためにはルールを守ることが大切です。ここでは、操縦に資格が必要かどうか、国家資格と民間の技能認定の違いを解説します。国家資格とは
2022年12月から、国土交通省が管轄する「無人航空機の操縦者技能証明制度」が始まりました。これにより、ドローンを安全に飛ばすための国家資格が設定されています。資格は一等と二等があり、一等資格をもつと、従来は飛ばせなかった人が住む地域や人の上空での飛行、さらに補助者なしで目視外飛行も可能になります。
また、危険物の輸送など、特別な業務にも対応できます。農薬散布や資材運搬など、業務でドローンを使う場合は、この国家資格があると活用の幅が広がります。
技能認定(民間資格)とは
国家資格とは別に、民間の団体が発行する技能認定があります。これは、ドローンを安全に操作する技術や知識を身につけたことを証明するものです。スクールや講習を受けることで取得でき、農薬散布の安全な方法や飛行ルール、機体の点検方法などを学べます。民間資格は国家資格のように法的に必須ではありませんが、技術の向上や第三者への説明の際に役立ちます。
また、初めてドローンを使う人でも安心して練習できる環境を提供してくれます。
資格がなくてもできること
趣味でドローンを飛ばす場合や小規模な作業では国家資格は必要ありません。ただし、農薬を散布する場合は事前に農林水産省への許可申請が必要です。また、周囲の人や作物に影響を与えないよう、安全に操作できる知識を身につけることが重要です。そのため、資格を取得していない場合でも、民間スクールで操作方法や安全対策を学ぶことはおすすめです。
農業用ドローン資格の取得方法
農業用ドローンを安全に活用するためには、資格を取得することが近道です。ここでは、講習内容や費用、取得までの流れを解説します。講習内容
資格を取得するための講習では、座学と実技の両方を学びます。座学では、航空法や農薬取締法など、ドローンの飛行に関わる法律やルールについて学びます。また、農薬の取り扱いや散布方法、安全管理の知識も身につけます。実技では、ドローンの点検方法や操作方法、標準的な散布パターンの練習、枕地散布といった実際の農作業に即した練習を行います。
これにより、現場で安全に飛行させる技術を身につけられます。
費用
講習費用は団体やコースによって異なりますが、一般的には15万円から18万円程度が目安です。この費用には、座学と実技、修了試験の受講料が含まれます。複数のスクールや団体が講習を実施しているため、自分のスケジュールや地域に合った講習を選ぶことが重要です。
取得までの流れ
資格取得の流れは次の通りです。まず、農林水産航空協会などの認定団体に申し込みます。次に、3日から5日程度の講習を受講し、座学と実技の両方を学びます。講習の最後には試験が行われ、合格すると技能認定が交付されます。
取得後は、資格を活かして農薬散布や肥料まきなどの業務をより安全に行えます。