ドローンは撮影や農薬の散布など、さまざまなシーンで利用されていますが、災害現場での活用も急速に広がっています。火災調査や被災地の確認、救助活動まで幅広く運用され、近年は自治体と民間が連携した取り組みも進展しています。本記事では、災害時にドローンがどのように役立つのかをくわしく解説します。
災害時にドローンはどれくらい利用されているの?
じつは災害現場でのドローン利用は年々増加しており、実際の運用実績も着実に積み上がっています。消防庁の報告によれば、2021年6月時点で災害対応においてドローンが活用された累計件数は4,051件にのぼります。内訳を見ると、建物や山林などの火災での運用が702件、火災原因調査が1,896件、自然災害(風水害や地震)が200件、山岳や水難事故などの救助・捜索が861件、そのほかが392件となっており、とくに人が立ち入りにくい火災原因調査の分野での活用が目立ちます。
加えて、国や自治体と民間事業者の連携事例も増えており、制度面での事前整備も進んでいます。
災害時にドローンを使うメリット・デメリット
先述したとおり、被災地でのドローン活用件数は増加傾向にあり、2021年には4,000件を超えました。これは、被害状況の把握や二次災害防止、現場の安全確保のためにドローンが実務レベルで有効に機能していることを示しています。ここでは、災害時にドローンを使うメリット・デメリットをご紹介します。メリット
ドローンを災害対応で活用する最大のメリットは、迅速な初動対応が可能な点です。災害発生時の救助活動は、まさに時間との闘いです。72時間の壁という言葉があるように、救助活動の現場では、時間の経過とともに動けなくなった被災者の生存率が急激に下がることが知られています。そのタイムリミットが72時間なのです。そのため、すばやい初動対応が肝心とされています。
ドローンならヘリコプターに比べて出動準備が短時間で済み、狭い場所や危険地域に人を立ち入らせずに状況把握が行えます。また、離着陸に広いスペースを必要としないため、都市部や山間部でも柔軟に運用できます。
ドローンの空撮映像や赤外線カメラ映像はリアルタイムで災害対策本部に中継可能であり、被災マップの作成や救助ルートの確保、被災者の早期発見に直結します。運用コストもヘリに比較して低く、自治体や民間団体が導入しやすいという利点もあります。
デメリット
従来型のバッテリー駆動ドローンでは長時間の連続飛行が難しく、広域を継続的に監視する際に制約が生じます。そのため、長時間の稼働には向いていません。次に物資輸送については積載量の限界が問題となります。一般的な小型ドローンの積載量はおおむね5〜10kg程度です。しかし、近年は50kgや200kgといった大容量搬送を目指す機体の開発も進んでいます。また、通信面の課題も無視できません。多くのドローンは2.4GHz帯の通信を用いており、災害で通信インフラが損なわれると制御や映像伝送が不安定になります。この点に関しては5Gネットワークを用いた実証実験が行われており、NECとドコモによる2022年の実験では高帯域の通信を介して映像解析と人物検知を行う仕組みが確認されています。
さらに、天候の影響を受けやすく強風や大雨では飛行が困難になる点、そして災害現場で安全に運用できる技能をもったパイロットの育成が必要である点も重要な課題です。
災害時にドローンが役立つシーンとは
災害時の稼働についてはまだまだ課題も多いドローンですが、人にはできないことができ、役立つことが多いのも事実です。では、実際にどのようなシーンで役立つのでしょうか。活用事例とあわせて見ていきましょう。被害範囲の早期把握
被害範囲の早期把握という面では、上空からの高画質カメラやズーム機能付きカメラにより、建物の倒壊状況や道路や橋梁の損傷状態を短時間で把握できます。たとえば東京都江東区で行われた訓練ではドローンが旧中川河川敷から飛び立ち、撮影映像をリアルタイムで区役所に中継して橋梁や道路の被災状況を確認した実績があり、こうした取り組みは被災マップ作成や復旧計画の初動で大いに役立ちます。夜間や煙で視界が悪い状況では赤外線カメラが威力を発揮し、被災者や遭難者の検出につながります。実際に山岳遭難や水難事故の捜索では赤外線搭載機が活躍していますし、木々の多い山間部でも小型ドローンなら低高度で探索を行いやすい利点があります。